対馬ルリ子女性ライフクリニック

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お悩みQ&A

出典:NPO法人女性医療ネットワーク 女性外来ハンドブック「こんなときどうする」
   2008年版より

Q1「月経が不順です」 「無月経になりました」

A ●症状
 婦人科の外来でよく遭遇する主訴です。月経がいったん発来していたのですから、原発性ではなく続発性無月経です。思春期の少女は性機能が未熟で、初経後まもなく無月経になることもあります。頻度が多いのは、失恋や人間関係などの精神的ストレス、疲労、過度のダイエット、肥満などによる女性ホルモンバランスが崩れて月経不順から無月経にまでなることがあります。これらの場合は、病気ではありません。また、更年期になると月経不順から無月経(閉経)になります。

●診断
 原因をさぐるため、無月経となった前後の月経の状態、生活環境の変化、体重の変化、他科の疾患の治療歴、内服薬に有無を問診します。同時に、既婚で妊娠を望んでいるのか、未婚だが将来の不妊の不安などを聞きます。ホルモンの負荷テストを行い、第1度無月経、第2度無月経の診断を行うと同時に、ストレスやダイエットによる心身の体調チェックも行っていきます。
 
●対応(治療)
 月経は女性の健康のバロメーターとも言えます。通常は月経が規則正しく発来している女性でも、精神的ストレスや肉体的疲労が重なる生活を続けていると、月経不順になることはよくあります。日頃から自分のホルモンバランスを知るために、基礎体温表をつけることを勧めたいものです。性交渉をもつパートナーがいるが、現在は妊娠を望んでいない人には、低用量ピルを飲んでもらうよう勧めています。バースコントロールやホルモンコントロールをするのも、ストレスの多い社会で生きる、現代女性の心身のメンテナンスとして必要だということをお話しています。(産婦人科/井尾裕子)
 

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Q2「月経痛がひどいのですが…」

A ●症状
 月経痛は子宮内で月経血を押し出そうとするホルモン(プロスタグランディン)の働きによるものです。このメカニズムは陣痛とほとんど同じなので痛いのは当然といえば当然です。欠勤や仕事や学業能率の低下などの社会生活に障害が出る場合や年単位で増強する場合、月経時以外に疼痛がある場合は産婦人医に相談しましょう。

●診断
 問診で月経困難症という診断は容易につきますが、原因となる疾患を否定する必要があります。内診や超音波検査で、子宮筋腫や子宮内膜症などが認められる場合はその治療が優先します。ただし婦人科的に異常を認めない、原発性(機能性)月経困難症が多いです。
 
●対応(治療)
 月経痛を起こすプロスタグランディンが分泌されますが、これが子宮以外の所に働くと吐き気や下痢が起こります。こういう場合は、インドメタシンなどのプロスタグランディンの生成を阻止する痛み止めを用いて、プロスタグランディンが作られる前に抑えます。月経痛は我慢するもの、薬はなるべく飲まない、という思いこみが強い人がいますが、痛みを我慢してもストレスが増大し、生活の質が落ちるばかりで何のメリットもないこと。痛みを取り去り、月経中も快適に過ごせてこそ最も健康によいことを知らせます。薬は使用中にだけ作用し、あとは代謝され体外に消えていくもの。月に数日の鎮痛剤服用がくせになるとか、将来の健康への影響はないとの理解を促すことが大切。安定剤を使ったり、心身をリラックスするためにゆっくり入浴するのも症状を緩和するのに有効。また漢方薬が効果的な人もいます。それでも月経痛がひどく、過多月経やPMSが合併する場合は低用量のピルを試す方法も。症状が軽く出血も少なくなります。まずは半年を目安に服用を続けます。単なる鎮痛効果だけでなくQOLの改善につながります。 (婦人科/小林秀文)
 

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Q3「月経前にイライラします」

A ●症状
 月経前期に「イライラする」「怒りやすくなる」「気分が落ち込む」「自分はダメな人間だ」などと否定的な感情や自己評価にとらわれ、月経ととともにそれらがなくなるというサイクルを多くの女性は感じています。自分で気づかず、子どもやパートナーに指摘されて初めて気づく人もいます。その感情の変化が強く長くあり、日常生活や仕事面で支障をきたすような場合、「月経前症候群(PMS)」として医療ケアの対象となります。その他、肩こり、頭痛、腹部が張る、便秘がひどくなる、乳房が張って痛い、むくむ、体重が増えるなどの身体的症状を伴うことが多く、これらも月経とともに消失します。

●診断
 月経前症候群の診断には、まず、内科系の疾患―貧血、糖尿病、甲状腺機能異常、時には膠原病や肝機能障害など、また、うつ病などの心療内科系の疾患がないことを、血液検査や問診により確認します。基礎体温もできる限り記録してもらい、排卵があることを確認します。排卵があることがこの疾患の前提です。その次に、月経周期とともに、どんな症状がどの程度あるのか、症状日誌(PMSチェックシート)を2か月記録してもらいます。症状が強く長くあり、しかも周期性があるときに初めて診断が確認できます。
 
●対応(治療)
 残念ながら特効薬はありません。個々人の症状の対処療法となります。ホルモン療法、ピル、ビタミン剤、ミネラルを含むサプリメント、鎮痛剤、利尿剤、抗うつ剤、睡眠薬、漢方薬などです。PMSチェックシートを記録するだけで本人が症状を客観的に知り、頑張るだけでなく上手に休みを計画することなど、セルフコントロールが身につくことも多いようです。チェックシート記録を通して女性には月経周期というリズムがあり、リズムによる体調変化への気づきを支える医療者と患者関係が大切です。 (婦人科/安日泰子)
 

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Q4「不正出血しました」

A ●症状
 月経以外の性器出血を不正出血といい、婦人科外来でよく訴えられる症状です。月経であってもいつもより極端に量の多少がある場合や持続期間が長すぎたり、短すぎたり、また不定期にくり返される場合なども不正出血と考えてよいでしょう。

●診断
 ①~⑤の順番で見ていくと見落としが少ないようです。
 ①妊娠の可能性の有無(本人が無自覚で、絨毛性疾患のこともあるので出血原因が不明のときには尿妊娠反応をチェックすること) ②出血部の確認(外陰、膣、子宮頸部、子宮体部、尿道口) ③機能性出血か器質性出血か。機能性出血とは、子宮内膜からの不正性器出血で妊娠や子宮体部の器質的疾患を除外したものをいう。機能性出血は、思春期から老年期までのあらゆる年代で発生し、不正性器出血の約30%を占める。排卵性出血と無排卵性出血があるので、基礎体温が参考になる。器質性出血には、悪性腫瘍(がん、肉腫)良性腫瘍(筋腫、ポリープ、肉芽など)炎症(子宮内膜炎、卵管炎、膣炎)、外傷などがある ④薬物使用の有無(女性ホルモン剤、乳がん治療薬など) ⑤内科的疾患の有無(出血傾向の出る疾患)。
 なお、月経の開始する前の小児の場合は外傷や性被害も考慮する必要があるでしょう。
 
●対応(治療)
 機能性出血は原則として、ホルモン治療や止血剤で対応します。排卵期出血が考えられる場合は、BBTをつけて卵巣機能の確認をするとよいでしょう。器質性出血では、各疾患に対応する治療が、萎縮性膣炎による出血も更年期以降の女性では多いので、膣錠やHRTが有効です。年1回の婦人科がん検診を受けることを勧めると同時に、STDの説明もしておきます。(婦人科/金重惠美子)
 

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Q5「おりものやかゆみがひどいのですが…」

A ●症状
 膣には浄化作用の働きがあり、女性ホルモンのバランスや体調を崩することで浄化作用が低下し、膣炎を発症することがあります。おりものの色が緑、黄、茶色などで臭いがあれば膣炎を疑います。外来で一番多いのはカンジダ膣炎です。STDの一つでもありますが、セックスの経験のない人にも発症し得るため膣からの検査は必要です。ほかにナプキンを長時間使用していることで雑菌を閉じ込めた状態になり膣炎を起こすことがあります。また、皮脂やアポクリン腺、毛嚢などの皮膚炎によるものがあります。

●診断
 膣分泌物培養による菌の同定を行います。下腹痛やクラミジアの既往のある方にはクラミジアの検査(血液による抗体、もしくは頚管内での抗原採取)も行います。視診上、初期のヘルペスや尖圭コンジローマを否定しなくてはいけません。ヨーグルトや豆腐のカス状と言われているカンジダ膣炎や、泡沫状の黄色のおりものと言われるトリコモナス膣炎の様に特徴的なおりものの場合は容易に診断がつくこともあります。しかし、特徴的な所見が見られないことがあったり、ほかの菌が混在していることもあるため、まずは培養の検査が必要です。
 
●対応(治療)
 膣炎の場合は早期治療で治療期間も短くすみます。膣炎の菌が同定された場合はそれに応じた軟膏の処方(抗真菌剤や抗ヒスタミン剤)、また強いかゆみにはステロイドの含まれた軟膏を短期間処方することもあります。またパートナーが性病と指摘されていたり、疑わしい症状がないかを問診で聞き出すことも重要です。パートナーと同時治療をすること、治療期間セックス禁止を説明することで再発率も激減します。しかし症状が軽くなることで再検査を受けない人もいるため、治療中に再検査の必要性や再発防止に関しての指導をすることも必要です。(産婦人科/生駒美穂子)
 

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Q6「頭痛がひどいのですが・・・」

A ●症状
 頭痛が重度の疾患を意味することは稀ですが、神経内科受診理由の最も多い主訴です。また、女性外来受診の身体症状としても非常に多くの方が頭痛を訴えています。慢性頭痛は、緊張性頭痛と片頭痛(血管性頭痛)、そのほかに分類されます。緊張性頭痛は、頭痛の大半を占める、いわゆる肩(頚)凝り頭痛で、首筋の痛みや非回転性のめまい、軽い悪心嘔吐を伴います。朝は軽く、疲労の蓄積による増悪も特徴ですが、睡眠の質が悪いと起床時から自覚することもしばしば。片頭痛はズキズキとした片側性の拍動性疼痛で、硬膜血管の拡張が原因。古典的片頭痛は閃輝暗点などの前兆を伴います。女性に頻度が高く、月経前に発作が多くなります。特殊なものに、チョコレートなど血管拡張作用のある食品摂取後、性交後、水泳後、力んだ後などに起こる頭痛があり、片頭痛としての治療が有効です。

●診断
 頭痛の診断は、器質的疾患に由来するか否かを判断することが重要です。クモ膜下出血、頭蓋内出血、脳腫瘍のような緊急性のある疾患で生じる頭痛は、突然「今までに経験したことのない」激烈なもので明らかに慢性頭痛とは異なります。慢性頭痛を来たす器質的疾患としては、副鼻腔炎、下垂体炎、低髄液圧症候群、髄膜炎、硬膜炎、睡眠時無呼吸などがあり、これらを疑ったら神経内科での検査を要します。最近頭痛の頻度が増加した、鎮痛薬が効かない、発熱・意識障害・四肢麻痺や複視などの神経症状を伴う場合は神経内科での頭部CT、MRI、MRAなどを受けることを薦めます。
 
●治療
 緊張性頭痛は鎮痛剤が有効。内服を我慢する人がほとんどですが、筋肉疲労ですから我慢すればするほど症状は増悪します。鎮痛剤のほか、熱いタオルで頚部を暖める、ストレッチをまめにするなどが効果的です。良質の睡眠をとることも必要です。片頭痛には鎮痛薬は効かずスマトリプタン製剤が著効を示します。錠剤のほか、注射、吸入剤などいろいろな剤形があります。(神経内科/上條美樹子)
 

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Q7「肩こり・首のこりがつらくて」

A ●症状
 心のケアは体全体への治癒反応を期待できます。女性はホルモンの影響を受けやすいことから不調を引き起こしますが、これにストレスが加わると肩こり、冷え、気分の落ち込み、イライラなど肉体的精神的に不安定となる女性が目立ちます。頑張りすぎ、食べすぎ、考えすぎなど、過剰気味傾向が強いようです。

●診断
 肩こり、首のこりの原因は様々ですが、長時間同じ姿勢を続けるパソコンによるテクノストレスや月経前緊張症(PMS)によるもの、卵巣機能の低下、緊張や不安から肩に力が入りこわばりが強くなり、交感神経が興奮状態で、血管が収縮して血流が悪くなり、肩こり、首のこりの原因につながるのです。
 
●対応・治療
 疲れているときに無理に栄養補給をするより、軽い運動や体の浄化に努めるほうがかえってすっきりします。アロマや鍼治療は、心身のケアに効果を発揮する身近な方法です。
 鍼治療で刺激するツボは、経絡という川の流れの中にある小石とでもいいましょうか、体に凝りや異常があると経絡に異常が現れ、ツボなどが反応します。その反応点を使って治療することで、コリや痛みを改善します。
 アロママッサージは、うっ血を改善し気分を和らげ緊張を解放し、心と体を温める効果があります。また、ホルモンバランスを整える精油を利用することでPMSやイライラなどの不調にも有効です。心の緊張をほぐし、体を温めうっ血を取り除く精油がお薦めです。
 アロマバスも効果抜群です。この方法は肌の弱い人でも行えます。熱めのお湯を洗面器に入れ、好きな香りを5滴ほど落として、浴槽のそばに置き、芳香浴。38~40度のお風呂にゆったりとつかります。(鍼灸師、アロマセラピスト/神崎貴子)
 

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Q8「動悸がします」「胸が苦しくて」

A ●症状
 外来でよく遭遇する症状で、動悸とは“心臓の鼓動を病的と感じる”ことをいいます。疾患の重症度より患者個人の感受性により症状の程度が決まります。循環器疾患、呼吸器疾患、甲状腺疾患、更年期障害、パニック症候群、過換気症候群などを念頭に診察します。

●診断
 まず、問診で動悸の起こり方、持続時間、治まり方、随伴する症状などを聞きます。例えば、動悸が一瞬、または数秒、もしくは30分から半日続く場合や脈がとぶなどの症状、胸部圧迫感がある場合は循環器疾患を疑い、心電図をとり専門医に紹介します。また、疲れやすい、体重減少などもあれば甲状腺機能亢進症を疑い甲状腺ホルモンの検査を行い、異常があれば専門医に紹介します。まず、循環器疾患、呼吸器疾患、甲状腺疾患を除外するためにも心電図、必要ならホルター心電図、胸部X―P、採血の検査は必要。しかし女性外来では、一般病院で検査をしたが異常ないといわれたという人がほとんど。器質的疾患が除外されたら、更年期指数や女性ホルモンのバランスをチェックし、更年期障害の疑いがあれば自律神経の不調によるとの説明をします。また、メンタル的に問題があり、急な動悸に強い不安感も伴うならパニック症候群を、また不安感から胸が苦しい、息ができない、口唇手足のしびれなどがあれば過換気症候群を疑います。いずれにしても受診した人の性格や生活環境などの背景をカウンセリングし判断することが重要だと思います。
 
●対応・治療
 器質的疾患が除外され、更年期障害による動悸が疑われたら、証を診て、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、当帰芍薬散などを処方したり、必要に応じてホルモン補充療法を行います。不安感が強ければ神経系に効果のある半夏厚朴湯を処方します。パニック症候群や過換気症候群などが疑われれば充分なカウンセリングを行い、必要なら安定剤やSSRIなどを処方します。しかし、症状がひどい場合やうつ傾向が強い場合は専門医を紹介します。(内科/今村理子)
 

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Q9「不安がとれません」

A ●症状
 不安は、不快であいまいな憂慮の感覚であり、誰もが体験する一般的なものです。しばしば頭痛、発汗、動悸、胸部圧迫感、腹部不快感などの自律神経症状や焦燥感を伴います。慢性的な不安は、苦痛を伴い、生活の質を低下させます。

●診断
 まずは、その不安が正常な範疇のものか、病的なものかを判別する必要があります。 病的な不安とは、与えられた刺激に対して、その強さや持続期間が不適切と判断できるものです。病的な不安を伴う疾患として最も多いのは、不安障害です。不安障害には、パニック障害、恐怖症・社会恐怖、強迫性障害、急性ストレス障害・外傷後ストレス障害、全般性不安障害が含まれます。不安は様々な身体疾患や、うつ病・統合失調症など、他の精神障害の一症状として生じる場合もあるので、身体疾患の検索や、不安以外の精神症状の確認も必要です。
 身体疾患検索のために、標準の血液生化学検査、甲状腺機能検査、心電図検査はしておくとよいでしょう。また、女性の場合、月経前症候群(PMS)の一症状として不安が増強することもあるので、月経周期との関連も確認する必要があります。
 
●対応(治療)
 身体疾患や他の精神疾患が不安の原因である場合には、原因疾患に対する治療を行います。
 不安障害に対しては、薬物療法(ベンゾジアゼピン系薬物、SSRIなどの抗鬱薬等)が有効ですが、薬物療法のみの治療には抵抗を感じる人も多く、病態に応じた適切な精神療法との併用が好ましいでしょう。(精神科・産婦人科/大沼美香)
 

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Q10「気分が落ち込みます」「イライラして人にあたってしまいます」

A ●症状
 ある程度の気分の落ち込み、イライラは、日常生活上、誰にでも認められる感情です。特に女性は、月経周期や妊娠・出産、更年期の影響で、これらの感情が男性により起こりやすい特徴があります。また女性は男性より生物学的にストレス耐性が低いため、ストレスがかかると気分の落ち込みやイライラといった感情を感じやすいようです。これらの主訴で病院に来院される患者さんは、「セルフコントロールが不可能なくらい」「日常生活に障害が出るくらい」の落ち込みやイライラを感じていることが多く、医療者の援助と介入を必要としています。

●診断
 問診によって、イライラや落ち込み以外に、不眠や食欲低下(または亢進)、興味ややる気の減退、集中力の低下、物事に対する億劫さがないかどうかを、聴取します。これらの随伴症状が認められる場合は、うつ病を疑う必要があります。現在や過去のあきらかなストレス源によって、これらの症状が起こっている場合は、適応障害、外傷後ストレス障害も考慮します。統合失調症等の精神疾患でも、これらの症状を呈する場合があります。また、月経に関わる周期があるようなら、月経前症候群として産婦人科的精査も必要。更年期障害、妊娠の有無、出産によるホルモン変動もこれらの症状を発生させることがあるため注意が必要です。その他、内科疾患がベースの場合もあり、末梢血検査・血液生化学検索も行います。甲状腺機能障害も見逃されやすい疾患の一つです。薬物履歴、特にステロイド使用の有無も確認してください。
 
●対応
 産婦人科疾患、内科疾患、薬物の関与が疑われれば、まずそちらの精査・治療が必要です。これらの関与がない場合、ストレス源の有無を検索し、明らかなストレス源がある場合は環境調整を行います。また傾聴やカウンセリングで、患者自身に心の整理を行ってもらうことで精神的な安定が得られる場合もあります。明らかなうつ病・適応障害などの精神疾患と診断できる場合や、非薬物的アプローチだけでは日常生活の障害が改善しない場合、抗うつ薬や抗不安薬といった薬物療法が有効だが、これらの薬物を使い慣れない場合は専門医への紹介も考慮してください。(精神科、コーチングカウンセリング/奥田弘美)
 

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Q11「眠れません」

A ●症状
 不眠は入眠困難(寝つきが悪い)、中途覚醒(眠っても、よく目を覚ます)、早朝覚醒(早く目が覚めて困っている)などに分けられます。また、睡眠時無呼吸症候群ではよく寝た感じがしない、いびきをかく、呼吸が止まるなどの症状があります。

●診断
 まず、どのように眠れないのかということをしっかり聞き取ることで、不眠の種類を明らかにします。睡眠習慣を含む生活習慣も確認します。
また、精神疾患の症状としての不眠があるので、うつ状態などの心の不調があるかチェックしましょう。睡眠時無呼吸症候群では終夜ポリグラフ検査が有効です。
 
●対応
 睡眠教育が大切です。①睡眠時間は個人差があり、朝心地よく起きられ日中眠くなければ睡眠は十分 ②寝る前のカフェイン、タバコは避け、心地よい音楽、軽い読書、ぬるめの入浴などでリラックスを ③眠くなったら寝て、決まった時刻に起きると早寝できる ④睡眠薬がわりのお酒は眠りを浅くする ⑤運動習慣は熟睡を促進⑥朝食は目覚めに重要、夜食は軽めに。以上の点を患者に理解してもらうことが大切です。
 薬物療法はくせになると不安を持つ人がいます。必要な人には医師の指示で服用することを約束し、中止するときも本人と相談しながら少しずつ減らすと一時的ですみます。
 ベンゾジアゼピン系睡眠薬のうち、入眠困難には超短時間・短時間作用型、中途覚醒・早朝覚醒には中間・長時間作用型が効果的ですが、後者は翌朝、眠気が残ることがあります。アルコールと併用すると、ふらつき、一時的な記憶障害、もうろう状態がでますので、きっぱりと注意しましょう。(精神科/野田順子)
 

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Q12「会議のときに下痢します」「便秘がひどく一週間も出ないことがあります」

A ●症状
 男性と同等に働くことを求められる、パソコン業務の多い、過緊張の女性などによく見られます。下痢と便秘をくり返す人や下痢だけ、便秘だけなどのタイプがあります。過敏性腸症候群と呼ばれる病気がこれにあてはまります。
 生命にかかわる病気ではないものの、生真面目でストレスをためやすい性格の人がなりやすく、腹部膨満やガスが出る、吐き気などの症状に悩まされることもあります。便秘は月経前にひどくなり、ひどい月経痛が並存することもあります。以前は、精神的なものとして片付けられてきましたが、腸管神経システムが過敏なことによる機能障害とわかってきました。女性は、男性の3~6倍も罹患しやすいといわれています。

●診断
 排便によって改善する腹痛や便通異常(下痢や便秘)が持続するなどという診断基準にあてはまるかどうかで診断します。クローン病や潰瘍性大腸炎、乳糖不耐症、あるいは大腸がんなどの疾患を除外するために、場合によっては大腸内視鏡検査を行うこともあります。
 
●治療
 最近知られてきた腸-脳ネットワークの働きを調整するためにいろいろな方法が試みられています。抗うつ薬が有効なのも理にかなっています。下痢や便秘の症状を改善するために腸機能改善薬や鎮痙薬が使われます。冷え症の女性で、月経時に下痢をするときには、温経湯などの漢方薬が効くこともあります。ストレスマネジメントとして自律訓練法を試みるのもよいでしょう。いずれにしろ、心と体をひとつながりのものとして診る医療が必要です。(消化器科・女性内科/瀧野敏子)
 

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Q13「最近、肌荒れが気になります」「しみ・しわが増えた気がします」

A ●原因
 肌荒れを大別すると化粧品が合っていないか、皮膚が弱っているかの2つ。化粧品が合っていない場合は、使用した部位は顔も体も同じ症状が出現することが多いのに対し、皮膚が弱っている場合には、いつもの化粧水がしみたり、何を塗っても潤わない、化粧のりが悪いという状態になります。多くは皮膚が弱っていることで起きる肌荒れです。皮膚が弱くなる原因は、自分に合ったスキンケアができていないことがあげられます。

●診断
 まず洗顔方法(何でどんな洗い方をしているか、化粧の仕方等)を詳しく問診します。また生活環境、食事の内容、胃腸の調子や睡眠の長さや質、ストレスを溜めやすいかも治療方針を立てる上で大事なチェック項目です。患者さんを知ることから始まります。
 
●対応
 肌荒れ対策の基本は「洗顔」「保湿」「日焼け止め」です。この3つを行えば特殊な治療や高価な化粧品を使わなくても、肌荒れ、しみ、しわ等、皮膚の老化スピードを緩めることは充分可能です。 洗顔:顔は部位によって皮脂の分泌量が異なります。Tゾーンはしっかりと、それ以外はサッと洗い流す程度で充分。水での洗顔をおすすめします。メイクを落とすときはクレンジング剤を直接つけず、水で湿らせたコットンに2~3滴落とし、薄めた状態でそっと拭き取るようにし、その後、水で軽く流します。保湿:自分の皮脂は1番のバリアですから洗い過ぎないようにし、基礎化粧品は好きなもので構わないので皮脂の少ない部分を念入りに保湿します。日焼け止め:日焼け止めクリームは1年中塗ります。朝塗って安心せず、2~3時間に1度重ね塗りします。日常の生活ではSPF30程度、PA(++)で充分ですが、長時間戸外にいる時はSPF50、PA(+++)をおすすめします。できてしまったしみには、ビタミンCとトラネキサム酸の内服を併用します。ハイドロキノン等の漂白クリームや光線治療等、美肌治療も奏効します。(皮膚科/平田雅子)
 

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Q14「デリケートゾーンがかゆいのですが」 

A ●症状
 陰股部のかゆみ、かぶれは女性多い悩みです。長年かゆみに耐え、市販薬を試しガチガチ、ボロボロになり我慢できなくなったころ来院するケースが多く見られます。粘膜に近い部位では、角質が薄くバリア機能が低下しやすく、雑菌が侵入しやすい上、経血やナプキンによる刺激も加わります。また、ストレスからも陰股部のかゆみが出ることもあり、几帳面、潔癖性である人が発症しやすい傾向があります。かゆい→汚れている→悪いと考え、ゴシゴシ洗うため皮膚のバリアが落ち、さらにかゆくなります。夜間に、かゆみが強くなる傾向もあります。

●診断
 皮疹が生理用ナプキンで隠れる位置にとどまっていれば、かぶれ(接触皮膚炎や刺激性皮膚炎)を考えます。ナプキンの部位からはみ出て、そけいや殿部にも広がっている場合は、白癬やカンジタを考えて糸状菌検査を施行します。
 
●対応
 まずは清潔ですが、ただし、トイレで毎回、温水洗浄器を使ったり、石鹸で洗い過ぎると常在菌まで抑えてしまい、ますます悪化します。膣の中や肛門を洗うときは、石鹸を使わず、ぬるま湯で洗うので充分。下着は締め付けず、通気性のよいもの、素材は特に皮膚にあたる部分は綿のものを着用します。
 また、ナプキン選びも重要です。仮に生理が7日間続くとすると、1日24時間×7日間、ナプキンが皮膚に密着しているため、試して自分にあったものを見つけるようアドバイスします。ドライメッシュは避けたほうが無難です。
 かゆみやかぶれのある皮膚は、少しの刺激でも過敏になっているため、トイレットペーパーも皮膚に優しいものを使います。症状がひどくナプキンが触れるだけでつらいというときは、ナプキンの中央にゲンタシン軟膏、ワセリンを塗って使用してもらいます。刺激を防ぐことができます。
 精神的な瘙痒に関しては、軽い抗不安剤や漢方が奏効することが多いですが、ストレスを回避する方法を見つけることも大事な治療になります。(皮膚科/平田雅子)
 

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Q15「体のあちこちがかゆくなります」 

A ●症状
 この症状で多いのは乾燥によるものですが、特に冬場や季節の変わり目に症状が出るのは、皮脂欠乏性湿疹です。皮脂の多い体の中心部から離れるほど症状が強い傾向があります。顔では眼囲、頬部、口囲等。体では四肢や腹部。冬、体が温まるとかゆく、ひどい場合は夜眠れないほどです。
 同様の症状で遺伝的な要素と皮膚要因がもとで起こる皮膚疾患に、アトピー性皮膚炎があります。年齢により症状やかゆみの部位は異なりますが、かゆみの強い湿疹で、良くなったり悪くなったりを繰り返します。多くは学童期までに軽快し、治った状態になりますが、成人しても症状が続くこともあります。
 また、突然、体のあちこちに膨疹が出現し、瘙痒が強いものが蕁麻疹です。通常30分~1時間くらいで消失し、また別の部位に出現するというのを繰り返します。重症の場合は、鼻づまりや気道浮腫、腹痛、下痢などの胃腸症状を伴うこともあり、軽いショック症状を呈することもあります。

●診断
 皮脂欠乏性湿疹や蕁麻疹は目で見てすぐに分かりますが、アレルギーによるかどうかは、患者さんの家族歴(血縁者に喘息、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎の人がいるかどうか)と血液検査で見ていきます。また、皮膚が乾燥しやすい、刺激に弱いなどの皮膚そのものの性状も考慮されます。
 
●対策
 まずは入浴に注意。石鹸でゴシゴシ洗い過ぎないこと。ナイロンタオルやスポンジも中止。刺激の少ない石鹸を泡立てて手でそっと洗います。入浴の温度も理想的には38~39℃ですがせめて40℃くらいまでにします。長湯をせず、硫黄の入った温泉や入浴剤を避けることも大切。体が温まって血行が良くなると痒みが強くなることが多いので、飲酒や辛いものも避けます。蕁麻疹に関しては、胃腸障害や疲労が引き金になることが多いので、食事指導も大切な治療です。内服治療としては抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、蕁麻疹にはH2ブロッカーも用いることもあります。また皮膚の症状には、ステロイドを始めとする外用剤で乾燥や痒みを抑え保護できます。(皮膚科/平田雅子)
 

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Q16「脱毛が気になります」 

A ●症状
 体や皮膚に老化現象が現れるのと同様、髪も衰えますが、最近は年齢に関係なく髪のトラブルが増えています。過度のストレスやダイエット、パーマやカラーリングによるものでしょう。また出産や更年期によるホルモンバランスの乱れも影響します。

●女性に多い脱毛のタイプ
 びまん性脱毛(症):頭全体が脱毛し、特に頭頂部の皮膚が透けて見えます。老化が原因。60歳以上で一般に見られます。極端なダイエットで起こることも。分娩後脱毛(症):妊娠中に多く分泌していた女性ホルモン量が産後減少し、髪が休止期サイクルに入るため。時間が経てば回復するが高齢出産では完治しないことも。円形脱毛(症):自覚症状がないまま、突然コイン状の脱毛斑ができます。精神的ストレスによることが多いがアトピー性皮膚炎によるものも。ほとんど回復しますが繰り返すことも。脂漏性脱毛(症):頭皮の皮脂の過剰が原因でふけが増え、かゆみが多い脱毛。
 
●診断と対応(治療)
 詳しい問診と視診により多くは判定可能。髪の老化は体の内と外からのケアで予防でき、回復もある程度まで可能です。
 ビタミン補給を。サプリメントを併用も可。髪によい栄養素は蛋白質、ビタミンA、B、C、D、E、ミネラル、コラーゲン、ヨウ素など。睡眠不足はイライラやホルモンバランスの乱れの原因になり、ストレスは毛の成長を抑えます。どの脱毛にもシャンプーによるマッサージは効果的です。汚れた頭皮は皮脂が毛穴をふさぎ、抜け毛を増やします。抜け毛を気にせず正しい洗髪法で丈夫な頭皮を保ちましょう。シャンプー前にブラッシングし、地肌の汚れを浮き上がらせ、湯だけでシャンプー前の予洗いをし、充分に濡らす。シャンプー剤は薄めて、少量をよく泡立て地肌を下から上へマッサージしながら洗う。シャンプー剤が残らないよう充分に洗い流す。シャンプー後はタオルとドライヤーで十分乾かす。
 以上が脱毛を防ぐヘアケア法ですが、薬剤治療としては血行をよくするビタミンEやストレスに強くなるビタミンB12の内服と塩化カルプロニウムの外用を行っています。ストレス性のものは心理面のサポートも大事な治療です。(皮膚科/平田雅子)
 

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Q 17「いつも熱っぽく、測ると微熱があります」 

A ●症状
 発熱以外の症状がないかどうかよく聞くことが重要です。咳・痰などの呼吸器症状、腹痛・下痢などの腹部症状、発疹などの皮膚症状、月経との関係、体重や食欲の変化、最近の海外渡航歴などを確認します。また体温を毎日最低2回測って記録してもらいます。熱型を観察でき、病的なものかそうでないかの判断になります。

●診断
 内科の成書には様々な不明熱の疾患が挙げられていますが、実際、微熱ではそれらに該当することは多くありません(もっとも38℃以上3週間以上という不明熱定義に微熱は当てはまりません)。しかし、微熱で見逃されやすい結核などの感染症や甲状腺などの内分泌疾患を含め確実に除外することが大切。年齢にもよりますが一通りの内科婦人科悪性疾患の除外も必要でしょう。微熱だけが唯一の症状のことがあります。その場合、花粉症などのアレルギー疾患やアルコール性肝障害などでも微熱は出ることがあります。また多く見られるのは、女性ホルモンの変動や自律神経のバランス異常です。過労や慢性の睡眠不足・過度のストレス、月経異常がないか確認します。体温表を見ると、月経周期による生理的なもののこともあります。薬剤性の発熱の可能性もあるので常用薬を確認します。
 
●治療・対策
 上記にあげた内科疾患や原因が発見されれば治療はそれに準じますが、上記がすべて除外され原因不明のことも少なくありません。微熱以外に症状がなければ基本的に様子を見ます。まず体温表をつけてもらい病的でないことを説明します。訴えが強い場合は、可能なら入院し体温を正確かつ客観的につけることを考慮してもいいかもしれません。生活リズムを見直し、ストレスを減らすことにより自律神経の安定を図り、改善するかどうか観察します。異常なしと判断しても数か月するうち疾患が現れることもあるので、しばらく体温表をつけ通院してもらい変化を見ます。(内科/萩原恵里) 
 

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Q 18「口が渇きます」 

A ●症状
 ドライマウスの症状は、口が渇く(乾く)。舌がひりひりする。しゃべりづらい。口の中がネバネバする。食べ物が飲み込みづらい。口臭が気になる。味がおいしくないなどを訴える人が多くなります。

●診断
 視診及び口腔水分計、湿潤度検査紙で舌表面の湿潤を測定する方法や唾液分泌量にて診断。分泌量測定は刺激唾液測定法(ガムテスト:10分間ガムを噛み口腔内の唾液を排唾し測定。10ml/10min以下で唾液分泌量低下。安静時唾液測定法:分泌量は10分間1ml以下で分泌量低下)があります。自己免疫性疾患のシェーグレン症候群との鑑別が必要な場合は、診断基準に基づき唾液腺シンチグラフィー、唾液腺造影検査や病理組織検査、血液、眼科検査を行います。
 
●治療・対策
 ドライマウスの原因は加齢、服用薬物の副作用、ストレスのほか、更年期におけるホルモンの変化、シェーグレン症候群や糖尿病などの内科的疾患、放射線治療後の副作用などがあります。内科的要因の場合は基礎疾患に対する治療を進めます。シェーグレン症候群対象には、ムスカリン性アセチルコリン受容体のM3受容体を選択的に刺激することで涙液、唾液分泌を促進させる薬剤(塩酸セビメリン水和物製剤)を処方することも。しかしドライマウスに関しては対処療法が中心。舌の痛みは唾液分泌量減少による粘膜保護作用の低下が原因のため、創傷治癒促進作用のあるアズレン製剤の処方で症状はかなり改善します。その他、人口唾液や漢方薬を処方したり、市販のドライマウス専用の口腔保湿ジェルやマウスウォッシュ(アルコールを含まないもの)、保湿スプレーを併用すると有効です。使用中の歯磨き剤がしみる人はドライマウス専用の発泡剤を含まないものに替えるなど低刺激の物を選択します。また、ドライマウスは唾液に含まれる免疫作用の低下により、虫歯、歯周病などや口腔カンジダ症にも留意しなければなりません。日常のケアとして唾液腺刺激のためにゆっくり噛むことや、唾液腺マッサージを行なったり、口の周りや舌を動かすストレッチを行うのもよいでしょう。ストレスをためないためにリラックス時間を増やすことが大切です。(歯科口腔外科/志村真理子) 
 

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Q 19「目が乾きます(ドライアイ)」 

A ●症状
 目が乾く代表的な疾患はドライアイですが、ドライアイの症状は必ずしも目が乾くということだけではありません。目がショボショボする、ゴロゴロする、目が疲れる、目があきにくい、急に涙が出る、目が赤くなる、目がかゆいといったさまざまな症状を訴えます。女性のドライアイは、若い世代ではコンタクトレンズ装用者やコンピューター作業従事者に多く、その後、更年期にも目の乾きの訴えは増加します。また、湿度が低下して肌荒れが気になる季節には同様にドライアイの症状も悪化します。

●診断
 ドライアイの診断は、涙の量を測定するシルマーテスト、乾燥した部分の粘膜を染色するフルオレセイン染色やローズベンガル染色を用いて行います。シルマーテストは、短冊状のワットマン41番の濾紙を結膜に5分間挟み、涙で湿った部分の長さを測定する方法。正常は10mm以上ですがドライアイでは5mm以下です。染色検査では染色部分の範囲をスコア化し重症度を判定。シェーグレン症候群では、このほかに涙腺や唾液腺生検による病理学的検査、ドライマウスの検査、自己抗体の血清学的検査を組み合わせて行います。
 
●対応(治療)
 乾燥対策としては、防腐剤無添加人工涙液の頻回点眼、ヒアルロン酸点眼(0.1%ヒアレイン点眼液)による治療を開始します。冷たい乾燥した風は症状を悪化させるので、ゴーグル型のドライアイ保護用眼鏡(モイスチャーエイド)が役立ちます。これでも症状が改善しない場合は、涙の排出口(涙点)をシリコンの小さいプラグ(涙点プラグ)でふさぎ、自分の涙をためる治療を行います。涙点プラグ挿入は重症ドライアイに対しても短期間で症状が改善しますが、これは持続的な涙液による保湿に加え、人工涙液では補いきれなかった涙液成分が角結膜に供給された結果と考えられています。コンピューター作業、エアコン、車の運転、飛行機の中、コンタクトレンズ装用など生活の至る所にドライアイ要因があります。毎日の生活では乾燥する季節に加湿器を使う、ゆっくり入浴するなど湿度をあげる工夫が必要です。また、屈折異常(近視、遠視)や老視があるのに眼鏡を使わずにいると、瞬きの間隔が延長し涙液の蒸発が亢進しドライアイ症状を悪化させます。(眼科/高村悦子)
 

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Q 20「膝が痛くて」「腰痛があります」 

A ●症状
 中年期以降の女性から、離床・起立歩行等の動作開始時、正座・階段昇降・中腰等の特定動作時、長時間の立位・歩行後などに“膝・腰が痛い”という訴えを聞く機会は多いと思われます。“痛みの表現”は千差万別で、痛みにより生活上の支障がどの程度生じているのかを客観的に把握するとよいでしょう。

●診断
 発症の様式・誘引、痛みの性質、経過を知ることが重要です。過去の外傷暦、スポーツ暦、職業暦なども参考になります。中年期以降の女性でまず念頭に置くのは、運動器の加齢・消耗性変化に伴う変形性膝関節症および変形性腰椎症です。変性の程度・部位により、動作開始時の疼痛がおもだったり、ある程度負荷が荷重した後の疼痛だったりします。レントゲン検査の結果と臨床像は必ずしも相関せず、これはほかの疾患の除外診断に必須で、以後の経過が診断を明確にしていきます。症状が強く、持続ないし憎悪する場合はMRIの適応で、豊富な情報量から画像診断には欠かせないものです。
 
●対応・治療
 運動器の発する“痛み”は、許容量を超えた使い過ぎや使い勝手の悪さから“わが身を守るための生理的警報”であり、必要以上に病的意識を持ち痛みを“敵対視”しないようアドバイスします。緩徐に進行する加齢性変化に人体は適応し、この現象を受け入れ“うまく共存していく”心のあり方が大切です。症状の強いときは適時NSAIDSの内服・外用などでコントロールし、有痛動作・誘引を一時的に控える指導をしますが、過度の保護は症状を慢性化させることになりかねません。運動不足で“固い体”はちょっとした動作で痛みを発し易く、この悪循環から脱するため適度な運動・ストレッチ励行へと時期を見た指示変更が必要です。長期的には、膝・腰への負荷の軽減に繋がる体重コントロール、支持力の低下を防ぐ大腿四頭筋や腹・背筋強化訓練も有用。症状の改善なく、一歩進んだ治療が必要の際は整形外科医にお任せ下さい。(整形外科/代田雅彦)
 

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Q 21「だるい・疲れがとれない」 

A ●症状
 女性外来で大変よく聞かれる症状です。まず、発熱があるかどうかを必ず確認します。発熱がある場合とない場合では疑う疾患が異なります。また、体重の変化・食欲不振・睡眠障害・口渇や多飲・息切れや動悸・便通異常などがないか聞き取ります。

●診断
 発熱のないだるさの原因として遭遇する頻度の多い順に、貧血・糖尿病・肝障害・心不全・腎障害・甲状腺などが挙げられます。中年以上では糖尿病が多く、空腹時血糖だけでは見逃すことも多いため、随時血糖やHbA1c・負荷テストも必要になることがあります。しかし、多くの人は女性外来を受診する前に一般の内科にかかっており、異常なしといわれたといって来院されると思います。その場合は、過労や睡眠不足・過度のストレスなどがないかどうか聞きます。それらによる自律神経のバランス異常が原因であることが大変多い印象です。さらにそれらが引き金になり、うつ病・うつ状態をきたしている場合もしばしば見られます。その場合は逆に眠れないなどの睡眠障害を訴えることが多くなります。うつのチェックシートは外来に常に用意しておきます。見逃されやすいものとして、いびきや睡眠時無呼吸症候群による自覚のない慢性睡眠不足を原因としただるさ・疲れもありますので、いびきの有無も確認します。更年期障害や過敏性腸症候群の一症状のこともあります。まれなものとして、全身の慢性疼痛を伴う場合には線維筋痛症を疑います。
 
●対応・治療
 器質的疾患が除外されれば、過労や睡眠不足・ストレスによる自律神経失調の改善を促すために、休養や規則正しい生活ができるよう援助します。臓器に異常がないことをよく説明し、しかし「気のせい」ではなく自律神経が調節できなくない「病気」であることや「気の持ちよう」では治らないことも理解してもらいます。ベンゾジアゼピン製剤を「自律神経を安定させる薬」として処方すると効果のあることが多いです。うつ症状がある場合は、“プチうつ”と説明すると受け入れられやすいようです。身体症状が主のうつの場合は内科でのSSRI処方等で対応可能なことも多いですが、精神症状が前面に出ている場合は専門医を紹介します。(内科/萩原恵里)
 

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Q 22「意欲がわきません」「性欲がありません」 

A ●症状
 ①疲れやすい
 ②朝起きるのがつらい
 ③朝の気分がすぐれず夕方に少し元気が出る
 ④朝早く目覚める
 ⑤夜中目覚めて眠れない
 ⑥注意力や集中力がない
 ⑦根気がない
 ⑧お化粧やおしゃれをする気になれない
 ⑨食欲がない
 ⑩性欲がない
 ⑪新聞やテレビニュースを見る気がしない
 ⑫意欲が沸かない
 ⑬急に悲しくなり涙が出る
 ⑭生きているのがイヤになることがある
 など。

●診断
 上記の症状が5つ以上あれば要注意です。早目に十分な休息を勧め、それでも2週間以上改善せず生活や仕事に支障が起こるなら、うつを疑うこと。うつの初期には身体症状として、①不眠 ②食欲不振③全身倦怠感 ④体の痛み(頭痛、肩こり、背部痛、腹痛)⑤動悸 ⑥めまい、ふらつきなどの体の不調がよく現れるので、検査をしても異常が見つからない身体症状はうつを疑う必要があります。
 
●対応(治療)
 産婦人科医が遭遇する精神疾患としては摂食障害、月経前症候 群(PMS)、マタニティブルー、更年期障害の症状の一つとしてうつ、不安感などがあります。女性は男性の2倍以上もうつ病が多いが、その原因の一つに女性ホルモンの変動があります。月経前のイライラや抑うつは仕事や人間関係に悪影響を及ぼし、産後のうつは重症化すると回復に時間がかかり、母親の問題だけでなく子どもの発達障害や、虐待に繋がることもあるので注意が必要です。PMSの軽いうつなら、アルコール、カフェイン、塩分、糖質を制限し、蛋白質・カルシウムの多い食事をして、軽い運動やリラクゼーションを心がけます。更年期の女性ではホルモン補充療法や漢方、抗不安薬などを使用し効果が十分でなければ抗うつ剤、精神療法を考える必要があります。うつは仕事効率の低下、ミスによる重大な事故に繋がることもあるので、早く気づき治すことが必要。そして、治癒への近道は自覚と家族や職場の理解と支援です。 (婦人科/金重惠美子)
 

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Q 23「尿が漏れます」「尿が我慢できません」

A ●診断
 尿が漏れるといっても原因がいろいろあり、それにより治療が異なります。ただし少なくとも腹圧時(運動・咳・くしゃみ・重いものを持ったとき)に漏れる(腹圧性尿失禁) か、尿がしたくなったときに我慢ができず(切迫性尿失禁) 漏れるかは区別が必要です。また、1日中だらだらと漏れる溢流性尿失禁を見逃さないよう気をつけます。尿閉によるもので腎後性腎不全を起こす危険性があります。また、客観的所見としては膀胱充満時に内診台上で咳払いを3回させます。咳と同時に尿が噴出すれば腹圧性尿失禁、咳から一瞬遅れて尿が漏れてくるようなら切迫性尿失禁の可能性が高いです。溢流性尿失禁の鑑別には残尿検査を行います。100ml以上の残尿がある場合にはすぐに泌尿器科を紹介してください。

●治療・対応
  腹圧性尿失禁ならばまず骨盤底筋訓練をするよう指導します。ただし3か月以上たっても変化ない場合は専門医への受診を勧めます。薬物療法としてクレンブテロール(スピロペントR)もありますが、効果は限定的で推奨できません。切迫性尿失禁の場合は尿検査で異常なく、残尿が50ml以下であれば抗コリン薬が奏効します。プロピベリン(バップフォーR)であれば10mg/1X、オキシブチニン(ポラキスR)であれば3mg/3Xから開始するとよいでしょう。2~4週間服用させ効果が見られない場合は用量を増やすか泌尿器科へ相談ください。また100ml以上の残尿がある場合にもすぐに泌尿器科への紹介をお願いします。
 尿失禁は治りうる可能性のある疾患です。しかし単純に尿失禁と考えては治療不能です。どんなタイプか、どこまで治療できるか、どの段階で専門医に送るかが問題です。特に手術療法は泌尿器科医全てが扱っていませんので、手術経験の多い医師や専門外来を持つ施設に紹介していただければと思います。(泌尿器科/大川あさ子)
 

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Q 24「尿意が頻回です」「排尿の関係した下腹部が痛む」 「外陰部に常に違和感があります」  

A ●症状・診断
 頻尿、残尿感、下腹部痛の訴えがある場合、安静にして1週間程度抗菌剤を内服すれば症状が軽快するのが急性細菌性膀胱炎、軽快しないのが膀胱痛症候群 / 間質性膀胱炎です。外陰部に違和感があり、産婦人科で膣炎の治療をしても症状が取れないときは、外陰痛症(外陰前庭痛症)の可能性があります。

●治療と対応
 薬物療法に関しては、52~53ページを参照下さい。膀胱痛症候群 / 間質性膀胱炎と外陰痛症(外陰前庭痛症)は、気温急激な低下、月経周期、過労、対人ストレス等で、症状の軽快と悪化を繰り返します。軽快時の生活制限は特になく、膀胱痛症候群 / 間質性膀胱炎の患者は膀胱容量を減らさないよう、排尿を我慢する膀胱訓練を行います。外陰痛症(外陰前庭痛症)は木綿の下着の使用し頻回の外陰部洗浄は避けることが必要。50~51ページの骨盤底体操はこの2つの疾患にも必須な体操で、軽快時も定期的に行う必要があります。
 疼痛や不快感・頻尿が激しいときは、排尿を我慢せず、性行為も避けます。さらに下半身の厚着や腰周りの携帯カイロの装着を行います。また心身両方の充分な休養が必要。性周期で症状が悪化する場合、症状が著しいときは一相性のピルを使用する場合もありますが、通常は内服薬の増量や食事制限で対処可能です。膀胱痛症候群 / 間質性膀胱炎の症状悪化時に控えるべき食品は、果物(オレンジ、グレープフルーツ、レモン、りんご、あんず、アボガド、バナナ、果肉がオレンジ色のメロン、クランベリー、ぶどう、ネクタリン、桃、プラム、イチゴ)、コーヒー・紅茶・緑茶・ウーロン茶等のカフェイン含有飲料、アルコール、チョコレート、トマトとトマト加工品、唐辛子、炭酸飲料、人工甘味料、残味の強い乳製品、肉加工品、酢、酸味のある調味料、豆類や豆加工品、酸味のあるパンなど。外陰痛症(外陰前庭痛症)は高シュウ酸食がよくないといわれ、高シュウ酸食とはほうれん草、ピーナッツ、セロリ、ブルーベリー、イチゴ、チョコレート、煮豆、オクラ、かぼちゃ、さつまいも、なす、ふすま、紅茶など。(女性泌尿器科/関口由紀)
 

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Q 25「痔核だと思うのですが…」 

A ●症状
 女性外来や外科外来では、「痔だと思うのですが、なかなかお尻を見せる勇気がなくて、受診するのをためらっていました」「肛門が痛くて仕方がなかったのですが、どこに行ったらいいのかわからなくてずっと我慢をしていました」という話をよく聞きます。
 痔核は、一般的にはいぼ痔といわれているもので、肛門の外側( 外痔核)と内側(内痔核)に分けられます。
 外痔核では、肛門の近くでいぼ状になっており、腫れると痛みが出ることがあります。
 内痔核は、肛門の内側にある静脈瘤( 血液のこぶ)みたいなもので、ときどき、いきんだりしたときに肛門から出血をしたり、肛門から脱出(脱肛)したりすることがあります。痛みはあまりありません。
痔核は男性に多いと思われがちですが、実際には女性にも多い病気です。女性は便秘がちだったり、出産でいきんだときに痔になる場合も多いのです。

●治療と対応
 外痔核も内痔核も、軟膏と排便習慣の改善( 便秘をしない、いきまない)で保存的に治療をするのですが、痔が腫れたり、また脱肛を繰り返すときは、手術をすることもあります。
 ただし、どうしても肛門やお尻を見せるということは抵抗があり、なかなか受診せずに市販薬で経過を見る人も多いのですが、一週間ぐらい市販薬を使ってもよくならないときは、やはり外科や肛門科、胃腸科を受診していただいたほうがいいと思います。
 痔だからと油断していると、貧血が進んだり、実は、直腸がんや肛門がんだったということもあるのです。
 きちんと診察を受けて、必要があれば大腸の内視鏡を受けたほうがいいこともあります。(外科/松本千鶴)
 

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Q 26「疲れると耳鳴りやめまいがしてきます」 

A ●症状
 耳鼻科疾患の中でも、もっとも取り扱いにくいのが耳鳴りとめまいです。しかし、内耳が障害されると明らかに出現する症状なので耳鼻科でも対応します。中枢性からの原因も半数にあり、耳鼻科で解決がつかなければ他科へ紹介することもあります。大事なのはいつ、どこで、何をしているときに、頭がどの位置のときにめまいが出現するか。回転性か、立ちくらみ程度か、浮遊感があるか。耳鳴りの音の種類や持続時間、日中気にならない程度か、難聴や嘔気を伴うか、などで原因が絞られます。原因は多種ありますが、症状発現直前の直接誘因は、精神的ストレス、睡眠不足がほとんどです。

●診断
 前述のように大事なのは起こり方の説明を詳しくすること。あとは外来で聴力検査や耳鳴の程度検査、めまいの中枢性を疑うときはMRI撮影。平衡機能検査には歩行検査、足踏み検査など身体のバランスをみるもの、頭位を変化させて眼振(眼球の揺れ)をみるもの、また耳に水を入れて眼振の起こり方を観察するもの(カロリック検査)など。耳鳴り・めまいを起こす耳鼻科疾患としてはメニエール病、頭位めまい症、内耳炎、中枢性としては脳血管障害、脳腫瘍、小脳出血、ツイ骨脳底動脈循環不全。一番多いのはどちらでも原因がわからない「めまい症」で自律神経的なものです。
 
●対応(治療)
 薬は鎮暈剤、ビタミンB12、循環改善剤、利尿剤など。耳鳴りに対しては軽度のトランキライザーを追加。しかし睡眠不足が直接の原因なので睡眠薬をうまく使い、ぐっすり寝るのが一番いいと思います。温泉に行ったり、マッサージを受けたり、リラックス療法は必ず効果があります。多くの場合は精査の上で、脳や内耳に異常なく自律神経的なもので改善可能と説明されることにより、安心したというケースが多いようです。(耳鼻咽喉科/鈴鹿有子)
 

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Q 27「乳房痛があります」「シコリがあるようですが・・」 

A ●症状
 乳腺外来で最も多い主訴がこの二つです。比較的若年の患者さんにおいては、月経周期に関連して排卵後から月経までの時期に痛みが出現したり、乳房全体に凹凸のある腫瘤様のシコリを触知するケースがよく見られます。

●診断
 一般的に、乳腺症と呼ばれているこの症状ですが、触診だけでは正しい診断は困難であり、必ずマンモグラフィおよび乳房超音波検査を行なうことが必要です。その上で画像上も腫瘤を認めるときには、乳がんなども念頭に置いた精密検査が必要になります。
検査結果で真の腫瘤が存在しないときには、それ以上の精査は不要であり、異常のないことを伝えるだけでも安心されるケースが多いと思われます。
 
●対応(治療)
 あくまでも生理的な現象でホルモンのアンバランスによって起こり、誰にでも起こりうることであることを告げるとともに、30歳以上の人には、必ずマンモグラフィや乳房超音波検査などの画像を用いた検診を一年に一回は行なうことを指導します。
  ホルモンのアンバランスはストレスなどで悪化するため、規則的な生活を心がけたり、過度の飲酒やカフェインの摂取を控えることで、乳房痛やゴリゴリとした腫瘤触知が改善することもあります。
 また、症状の強い方には、葛根湯という漢方薬やあるいは、女性ホルモンを安定させるために低用量ピルの使用なども効果が報告されています。(乳腺外科/坂佳奈子)
 

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Q 28「乳首がただれてかゆみがあります」

A ●症状
 月経周期において月経前に、女性ホルモンの刺激で乳頭部のかゆみが起こります。また、月経不順や更年期では不規則にかゆみが生じることがあります。下着や季節で、かゆみが誘発されることもあります。アレルギーやアトピー体質の人が多いようです。体質・月経周期に関係なくかゆみが続き、かぶれて浸出液と瘡蓋を繰り返し、治療に抵抗があるときはPaget病との鑑別が必要です。

●診断
 かゆみの状況をよく聞いて判断します。一過性のかゆみであれば無治療または適切な治療で軽快しますので、検査をする必要はありません。乳頭部だけが湿疹のようにただれた状態で、治療をしても治らない場合は、悪性疾患を否定するために基本的なマンモグラフィ・乳房超音波検査・浸出液の細胞診検査をします。さらには、組織検査が必要な場合もあります。
 
●対応(治療)
 月経周期よって起こるかゆみは、乳腺症の一つの症状として考えますので、「掻かないこと・心配ないこと」を伝えます。女性ホルモンのアンバランスによって起こるため、月経不順や更年期にも見られ、若い女性であれば一度妊娠出産を経験すると起こらなくなくなる傾向にあります。「接触性皮膚炎」が一番多いので、「下着を替えてみること」「下着の内側にいつもガーゼを広くあてること」などの生活指導も必要です。また季節にも左右されやすく、寒くなると乾燥してかゆみが起こりやすいため、この時期入浴後にベビーオイルなど自分に合った保湿を指導します。かぶれてしまった場合、消毒・抗生剤+軽度ステロイド外用薬+ガーゼ処置を短期間(3~5日)自宅指導します。ほとんどが完治しますが再発しやすいので、症状が出たら早めに自宅で処置ができるよう指導します。かゆみを強く訴える人には抗ヒスタミン剤の外用薬を処方します。Paget病と診断されたら外科での手術となります。(乳腺外科/高木博美)
 

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Q 29「むくみがあります」「冷えがひどいです」

A ●症状
 むくみや冷えは女性外来で遭遇することの多い訴えのひとつですが、その部位や程度はさまざまで、いわゆる体質的な部分に加え、女性ホルモンの変動や生活習慣など、その原因は複雑だと考えられます。立位や座位など同じ姿勢を長時間保持することやストレス・運動不足による血流障害や新陳代謝の低下のほか、月経時やPMSの一症状として見られることも多く、器質的疾患がない、いわゆる冷えやむくみは一般的には現代薬による治療の対象とはなりにくいもので、漢方治療の良い適応となります。

●診断
 甲状腺機能低下症や膠原病、心疾患や腎疾患など、器質的疾患の有無をチェックした上で、緩下剤・利尿剤の服用やダイエットの有無、月経周期との関係、季節や時間による変動などを確かめておく必要があります。漢方医学では、血液以外の水分である「水(すい)」の偏りがむくみであり、水は冷やす性質があって、冷えにもつながると考えています。また、冷えの原因には水のほか、血流障害や新陳代謝の低下があり、その原因や体質により漢方薬の処方や日常生活の指導を行います。
 
●治療および対処法
 器質的疾患はもちろんのこと、ダイエットや緩下剤・利尿剤の服用などの原因がはっきりしていれば、まず原因となっていることを取り除くことが第一です。そのうえで、体力の有無や胃腸機能などの体質的背景を加味して、真武湯や当帰芍薬散をはじめとする漢方薬の長期投与を行います。また、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることや足浴、下肢のオイルマッサージ、散歩などの軽い運動が有効なため、丁寧な生活指導を行うとより効果的です。(内科・漢方医学/渡邉賀子)
 

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Q 30「不妊症で悩んでいます」

A ●定義・原因
 正常な性機能を有するカップルでは避妊しなければ1年間でその80%、2年間で90%が妊娠します。2年間以上妊娠の兆しがないカップルは不妊症と診断されます。不妊の原因は女性側30%、男性側30%、残りが原因不明です。内分泌・排卵因子=視床下部・下垂体系の異常、高プロラクチン血症、黄体機能不全、全身疾患など、卵管因子=卵管の通過障害がおもな原因で、ほかにクラミジア感染等による炎症性卵管周囲癒着、子宮内膜症性癒着など、子宮因子=子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮奇形、子宮内膜癒着など。また頸管因子、男性因子、免疫因子=抗精子抗体、抗透明体抗体などの原因もあります。

●検査
 不妊の検査、治療にはそれぞれ最適のタイミングがあります。基礎体温表をもとに検査の日程を決めます。卵管疎通性検査(子宮卵管造影術、卵管通気法、卵管通水法)、超音波検査、精液検査、性交後検査、免疫学的検査などを行います。
 
●治療・対応
 排卵誘発剤(排卵誘発剤はクロミフェン・またはセキソビットが最も使用頻度の高い薬剤)、人工授精(人工授精は精液を人工的に女性性器内に注入する方法)、体外受精=IVF(採卵した卵細胞を試験官に入れ洗浄、元気な精子と混ぜ、培養液中で受精すれば受精卵となり、採卵2日後、4~16分割卵を子宮口から子宮内部へと移植)顕微授精(卵細胞に小さな穴をあけ精子を注入する)などの治療を必要に応じて選択して行います。
 不妊のカップルのほとんどは「いつになったら妊娠できるの」「本当に子どもができるの」などの不安を抱えています。積極的にカウンセリングをお勧めください。不妊専門クリニックには不妊カウンセラーが常在しているところもあります。(産婦人科/松峯寿美)
 

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Q 31「5年以上セックスレスです」

A ●症状
 「別に相手に不満はなく嫌いでもない」「私はいいが相手がどうか、いまさら聞くのも変だし」「互いに忙しく、ほかの楽しみもあり結婚以来2年になるが2~3回。子どもが欲しくなって相談に来た」などと受診します。あるいは、「結婚以前はセックスは定期的にあったが結婚後数回しかなくどうにかしたい」といわれる場合もあります。

●診断
 日本性医学会の定義は「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1か月以上なく、その後も長期に渡ることが予想される場合、セックスレス・カップルのカテゴリーに入る」とされています。
 
●対応(治療)
 上記診断に当てはまっても、カップル、個々人が何を望むかにより治療の必要性が決まります。お互い不満がなければ治療は必要ありません。妊娠の希望があれば排卵期を見定めて性交を持つ「タイミング指導」という不妊症の初歩的治療をします。「セックスレス」が問題にならばその原因を考えます。性交の意欲はあっても内膜症や膣炎のために性交痛がある場合は、婦人科的な治療を行います。性交の意欲低下には、うつ状態や適応障害などの精神的問題がありえます。女性の性欲低下には妊娠の不安が先行したり、背景に過去の妊娠・出産のトラブルを引きずっていることや、生育歴の問題があることも。男性の性欲低下が最近増えており、その原因は「愛情の質の変化」、男女関係から、例えば母と息子・兄と妹・親友関係のように変化し、エロス的な関係がなくなるということが増えています。医療現場に現れる人はその関係性を問題に感じていますが、カウンセリング過程で、パートナーあるいは本人の生育暦や人間関係の持ち方が根幹にある場合が判明することもあり、本人が女性外来のカウンセリングに何を望むのかを明確にしつつ、最適な相談場所の紹介も念頭に入れておく必要があります。(婦人科/安日泰子)
 

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Q 32「レイプされました」

A ●症状(疫学)
 米女性の25%に性暴力が報告されています。日本でも1999年の総理府統計「男女間における暴力に関する調査」では意に反して性的な行為を強要されることが「何度もあった」(4.1%)、「1~2度あった」(13.6%)とされています。

●診断と対応(治療)
 すべて女性スタッフが対応することが理想的で、医師の役割は二つ「本人の心配に対しケアすること。実際何が起きたかに基づき検査すること」です。被害状況を含め一般婦人科と同様の問診を行います。特にピルを服用しているか、合意ある最後のセックス時期、感染症既往などに注意を払います。その後、診察の説明をし同意を確認。もしレイプ直後で衣服を着替えていなければ、衣服をビニール袋に収拾し適当なガウンに着替えてもらい全身的な皮下出血、傷の有無を確認。性器診察は侵襲的に感じさせる診察は避け、可能な限り視診で得られる情報を集めます。最後に、膣鏡診で傷の有無を確認、精子採取(綿棒2本用意し膣内と頚管を擦過し乾燥させ保管)します。その後、この綿棒に酸フォスファターゼ酵素を使い精子の証明をします。性感染症検査を子宮頸部、場合によっては口腔・肛門内より採取します。米マニュアルによれば、加害者の43%は性感染症を持つため検査結果を待たず、直後から抗生物質やB型肝炎免疫グロブリンを接種するよう勧告しています。この時期の検査は早すぎるという意見もあり、予防的治療後、検査で異常ないことを確認するやり方も。必要により緊急避妊ピルを行い、所見はすべて記録に残します。1~2週間後、妊娠反応と精神状態の確認、3~4週間後、HB肝炎検査、妊娠反応再検、精神症状があれば早めに精神科的ケアに繋ぐことが大切です。
 警察からの依頼の場合、警察のキットが用意されています。警察に訴え事件となるときは、以上の診察費用はある程度公費負担、東京都では人工妊娠中絶に関わる費用も公費で支払われることになりました。しかしながら日本での性被害者への公的、地域的なサポートや啓発は今後の大きな課題です。(婦人科/安日泰子)
 

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Q 33「上司のセクハラで悩んでいます」

A ●定義
 セクシャル・ハラスメントとは、職場における性的な嫌がらせを指す言葉です。原因の根本には性別における男女の歪んだ力関係があるといわれています。「性的言動が女性を不快にさせるということがわかっていない」「一部のモラルの低い男性がいる」「男性が女性を職場で対等なパートナーとして見ていない」等が発生の原因とされ、現在は労働問題として取り上げられます。セクシャル・ハラスメントは行動により4つのタイプに分けられます。
①対価型:(労働条件に不利益を受ける)交際に応じないので無視する、または解雇する。性的関係がないと仕事の協力が出来ないと迫る。人事権をちらつかせて性的関係を迫る。交際中の部下の人事考課をよくする。商談の際に性的関係を条件にする。
②環境型:(働く環境が侵害される)性的な経験について聞かれる。身体に(胸やお尻など)触る。身体をじろじろ眺める。職場にヌードポスターを貼る。社内や取引先の社員との性的な噂を流す。
③性別を理由とする:女性社員のみに私用をさせる。接待で女性社員にお酌の強要をする。「女性には仕事は任せられない」と発言する。女性のみ残業を免除する。「結婚はまだ」と尋ねる。
④アフターファイブ:勤務終了後しつこく誘う。休日に連絡し何度も交際を迫る。宴席で無理に酒を勧めたりお酌を強要する。酔って身体に触る。宴席で女性社員の身体を触るのを見て見ぬふりをする。

●対応
 「嫌な事は嫌!」とはっきり意思表示するようアドバイスします。職場では様々な理由から我慢、無視という消極的対応になりがち。曖昧な対応は男性側に「相手も嫌がっていない」「この程度なら」など誤解や無理解を高め、身勝手な思い込みにまで繋がるケースもあります。1人で悩まず社内外の身近で信頼できる人に相談するよう勧め、具体的な被害の記録を取っておくよう助言します。相談の際はプライバシー配慮が十分かを確認し、労働組合等の苦情相談窓口への相談ができることも伝えます。(企業内相談業務/石川 映子)
 

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Q 34「地震後のPTSDが治りません」

A ●症状・定義
 PTSD(外傷後ストレス障害)とは、著しく驚異的、破局的な外傷的出来事(地震、レイプなど)に曝されたときに生じる心の障害です。地震では自宅や職場が壊れたり、ときには家族を失ったりという大きな喪失体験を味わいます。地震を境に今まで当たり前に続いていた生活の基盤を失うことになります。典型的な診断基準の症状以外に不安、抑うつ、自律神経症状、希死念慮なども見られます。

●診断
 PTSDの診断基準では、①外傷的な出来事のフラッシュバックなどの再体験 ②外傷に関連したことの回避、全般性の反応麻痺 ③睡眠障害、易怒性、集中力低下、驚愕反応などの覚醒亢進症状があります。
 
●対応
 死の恐怖や無力感を強く味わっているので、地震体験については、本人が語ることができることを、時間をかけながら傾聴していくことがよいでしょう。誰かに聴いてもらえるだけでも、その人の力になります。地震によって変わってしまった生活への適応障害もあります。医療だけでなく行政からの生活維持の援助が必要です。ネットワークを作り、サポート体制ができると症状も軽くなってきます。
  薬物療法としては、集中力困難、抑うつ気分、全般性の反応麻痺などには抗うつ薬、抗不安薬を使います。地震と関連したことからの回避や、フラッシュバックによる驚愕反応には抗不安薬が有効です。薬で支えながら安心感を回復します。
 地震などの大震災では、子どもを失った母親の苦しみを癒すこと、残された子どもに心を配ることなど、個人の医師の力に及ばないことが多くあります。地域で力を合わせていくこと、時間というものが物事を解決し、心の傷を和らげる力があることを信じることも必要ではないかと思います。(精神科/野田順子)
 

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Q 35「妊娠したのですが、糖尿病があるといわれて心配です」

A ●定義
 妊娠中の糖尿病には、すでに糖尿病があって妊娠した場合の「糖尿病合併妊娠」と、妊娠という負荷によって誘発された「妊娠糖尿病」があります。

●対応・治療
 「糖尿病合併妊娠」を診療していく上でまず検討しなくてはいけないのは「児の奇形」と「母体の網膜症の進展」をいかに防ぐかです。まず奇形ですが、妊娠初期の母体のHbA1cと児の奇形発生率には正の相関があり、また、妊娠中は網膜症が進行しやすいといわれています。これらを予防するために妊娠可能性のある女性には、血糖コントロールをしてから妊娠すること、眼科医の検診を受け必要があればレーザーなどの治療を受けてから妊娠すること、の指導を徹底する必要があります。妊娠前のコントロール目標としてHbA1cを正常範囲にすることは理想ですが、現実問題としてせめて6.9%以下を目標にしたいものです。
 次に、妊娠初期の問題をクリアした後は血糖コントロールを上手にしていきます。妊娠中期以降は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が増し血糖が上昇してきます。母親のグルコースは胎児に移行するため、血糖が高いと胎児のインスリンの産生が高まり巨大児や分娩時低血糖の原因となります。血糖値は極力生理的な変動範囲に治めるべきです。空腹時100mg/dl以下、食後120mg/dl以下を目標にします。エネルギー制限および分割食で充分なコントロールが得られない場合はインスリン療法となります。
 日々の診療で感じるのは、いかに耐糖能異常を持つ女性が多いかということです。予備軍を含め1400万人もの糖尿病がいるといわれる日本で、ましてや高齢妊娠の増えている状況で肥満、家族歴の有無いかんに関わらず妊娠前にしっかりとした評価が必要でしょう。「妊娠糖尿病」のほとんどは産後正常化しますが、糖尿病予備軍であることに違いありません。中年になって本物の糖尿病にならないような生活指導もお忘れなく。(内科・村島温子)
 

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Q 36「他の病院でもらっている薬があるのですが、 一緒に飲んでもいいのでしょうか? 」

A ●注意すべきこと
 患者さんの判断で一緒に飲むことは避けなければいけません。服用している薬の種類にもよりますが、併用禁忌で一緒に飲むことを避けなければいけない組み合わせもあります。また薬と薬同士の相互作用により、薬効が抑えられ期待どおりの効果が出ない場合があったり、逆に薬効が強く出すぎて身体に影響を及ぼすこともあります。今は、コンビニなどでも薬剤師に相談することなく気軽に薬を買い飲むことができるようになっています。病院でもらう薬だけでなく、市販されている感冒薬や解熱鎮痛剤なども病院でもらう薬と薬効が重なったりすることもありますし、薬以外の食べ物やジュース、サプリメントなどでも薬効に影響を与える場合があります。

●対応
 また、最近関心の高い漢方薬にも副作用や相互作用があります。例えば、痛み止めなどに用いる「芍薬甘草湯」、婦人薬として使われる「加味逍遥散」などに含まれる甘草を過剰に摂取するとその成分のグリチルリチンの副作用で、むくみや高血圧などの症状が出ることがあります。漢方だからと安心せず、何種類か飲む場合や降圧剤などの西洋薬と併用する場合は注意しなければいけません。しかし、西洋薬(副腎皮質ホルモン剤、抗がん剤など)と併用することで、副作用を抑えることができる漢方薬もありますので、一緒に飲むことが効果的なケースもあり、今後増えていくと思われます。
 薬は「両刃の剣」といわれるように使い方を誤ると、症状が良くなるどころか悪化したり他の症状が出る場合もあります。薬を正しく使い、副作用を防ぐには何よりも患者さん自身が飲んでいる薬についての知識を持つことが大切です。そのために、私たち薬剤師はもちろんのこと、医師、看護師ほかの医療従事者が信頼され、なんでも相談でき頼れる存在であることが、薬を安全に使う上でも大切なことだと思います。(薬剤師、漢方アドバイザー/樫出恒代)
 

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Q 37「身体のあちこちが痛みます」

A ●症状
 まず、「あちこちが痛む」のあちこちとは関節か、筋肉かを見極める必要があります。関節があちこち痛む、すなわち多発関節痛を訴える症例の場合は、膠原病ないしは変形性関節症を考えなくてはなりません。膠原病は全てといっていいほど多発関節痛を伴いますが、疾患によって炎症の強さ、痛みを訴えやすい関節部位が違います。

●診断
 膠原病のうちSLEや強皮症などは他の症状が特徴的で比較的診断しやすいと思いますので、まず関節リウマチとシェーグレン症候群を説明します。関節リウマチ(RA)は、朝のこわばりが有名ですがこれだけでRAを疑う必要はありません。RAの関節炎の好発部位はPIP関節、MCP関節、手関節です。小さな関節ですので、炎症の四主徴である腫脹、熱感、発赤、疼痛は確認しやすいと思います。肘関節では関節の伸展が不十分になることで、膝関節では正座ができなくなることで炎症の存在が推測されます。専門医以外で診察に自信がないときはこれら問診でおおよそのことが分かります。問診、理学所見で炎症の存在が疑われたら、CRP、リウマトイド因子(RF定量、RAHAなど)を検査しますが、小関節に限局している場合には異常とならない場合もあります。シェーグレン症候群でもPIP関節を中心とした関節痛を訴えられる方をしばしば見かけます。炎症所見は乏しい点がRAとの違いです。問診でドライアイなどの乾燥症状が認められたら、抗核抗体を検査しておきましょう。
 変形性関節症(OA)の好発部位は、手指、膝関節とRAのそれと似ており、専門医でも鑑別が難しいことがあります。手指関節のなかでもDIP関節に好発すること、炎症ではないので熱感を伴わないことがRAとの鑑別点です。全身の筋肉痛は、インフルエンザなどの急性感染症をのぞけば比較的まれです。多発筋炎/皮膚筋炎では、筋肉痛よりも筋力低下が主体です。むしろ混合性結合組織病では筋肉痛を訴えることが多いように思います。狭義では膠原病ではありませんが、繊維性筋痛症という疾患概念があります。診断は除外診断のほかに圧痛点をカウントして行います。(内科/村島温子)
 

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Q 38 「やせたいのになかなかやせません」

A ●女性に多い皮下脂肪
 もともと女性ホルモンの影響で皮下脂肪が多く、脂肪以外の組織量が少ないため、思春期以降では基礎代謝量、エネルギー消費量がともに男性より少ないのが特徴です。そのため、過剰に摂取されたエネルギーは優先的に脂肪として貯蔵されます。

●食生活の工夫
やせるための食生活の工夫としては、まず、エネルギー所要量と比べて食物を過剰に摂取する食習慣がないかをチェックしてください。主食は食べなくても甘いものが多くては、やせるはずはありません。
 次に、自分の生活リズムと食事がマッチしているかチェックしてください。働いている女性で食事が不規則になりがちな人は、夜の過食が問題です。食後寝るまでの時間が短いと余分な糖分が脂肪として蓄積されます。そこで、朝食の代わりにニンジンジュースやしょうが紅茶などの体を温めるものを摂取し、朝の排尿や排便をきちんと行ってください。
 ただし、毎日規則的に食事できる人は、朝食も食べ和食を中心にしましょう。
 また、女性では、家族の関係が良好なことや歯磨き習慣が体重の増加を抑制する要因ですので、これらにも気を配りましょう。
 
●運動
 定期的な運動習慣、特に有酸素運動は中年以降の生活習慣病の予防として、内臓脂肪の減少には効果的です。しかし、皮下脂肪を落とすには、無酸素運動で筋肉を増やし、エネルギー消費を高める必要があります。そのための筋トレには、椅子や踏み台などを利用する方法やスクワット、ストレッチなどがあります。(循環器内科/田中裕幸)
 

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Q 39「たばこがやめられません」

A ●症状
 タバコがやめられないのは、「意志の弱さ」ではなく、タバコのニコチンに対する身体的な依存と、それを繰り返すことでできた習慣への心理的な依存のためです。タバコを吸うと、ちょうど薬物注射のように6秒くらいでニコチンが脳細胞に到達し、報酬系という気持ちがよい回路を刺激します。喫煙を繰り返すとニコチン刺激による回路刺激が定着し、それがないとイライラ、不安、焦燥などのニコチン切れ症状が出るようになり煙草が手放せなくなります。

●診断・対応(治療)
依存の深さは、ファガストロームテストという問診で調べることができ、特に朝起きてから5分以内に吸わずにいられないかどうかが一つの大きな目安です。ニコチンガムやニコチンパッチを使用して最低限のニコチンを補充し、ニコチン切れ症状を防ぐ薬物療法(ニコチン代替療法)を併用すると楽に禁煙をスタートできます。1日15本以上の常習喫煙者、依存度が中等度以上の人、禁煙してみたのにニコチン切れ症状が強くて失敗経験がある人にお勧めです。
 禁煙を成功させるには、心理的な依存への対策(行動療法)が特に重要。つまりタバコのない暮らし方の工夫です。まず、身の回りのタバコ関連用品をなくし、周囲の人に協力を求め、タバコを吸う場所や人に近づかず、タバコ以外の方法(深呼吸、歩く、水を飲む、ガムを噛む、歯磨きなど)で喫煙欲求をやり過ごし、脳の依存が回復するのを待ちます。短期間でも禁煙できれば自分を褒め、禁煙のメリット(肌の色艶がよくなる、化粧のりが回復、体力が回復し階段が楽に昇れる、老化やがん、動脈硬化が防げる、お金が貯まる)を確認します。ニコチンパッチやガムを使うときも必ず行動療法を一緒に行います。ストレスは決してタバコでは解決しないはず。「つい1本」に手を出すと自分が嫌になり(罪悪感)、自信を失うもと。禁煙は初めて自転車に乗るようなもの、転んでもチャレンジを続ければ必ずできるようになると励まします。
              

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Q 40「ピルを飲んでみたいのですが不安です」

A●低用量ピルのメリット
 10代から40代の多くの女性にとって、ピルはメリットの大きい薬です。低用量ピル(以下OC)が避妊薬として日本で認可され6年が経過しましたが、その服用率は対象年齢女性の2%未満ととても低い状態です。なぜ日本でOCが普及しないのでしょうか。それはOCが副作用の多い薬剤であるという誤解、偏見と、OCの副効用(利点)が正しく理解されていないことが大きな原因です。  OCの良さはなんといっても、最も確実な避妊法ということです。飲み忘れがなければ、ほかのどんな避妊を併用しなくても妊娠する率は0に近いのです。女性自らが選択できることや、性感を損なわないことも大きな利点です。また妊娠を希望するときは、いつでも服用を中止するだけでよく、胎児への影響もありません。避妊以外の代表的な利点は、月経痛の軽減、月経周期異常の治療、月経前症候群(PMS)の治療、ニキビや多毛の治療にもつながるという点です。またどんな年齢でも数年間服用すれば卵巣癌や子宮体癌に罹患する率がかなり減少することもはっきりとわかっています。

●多くの女性に安全な薬
 多くの女性にOCは安全な薬剤です。飲み始めに軽い嘔気や乳房痛、頭痛、軽いむくみ感、少量の不正性器出血などの症状が見られることがありますが、これらはマイナートラブルと呼ばれるもので、多くは1~2か月のうちに消失します。血栓症のような重大な副作用は日本人には発症しにくく、ごく稀な疾患です。WHO(世界保健機構)で服用禁忌としているのは、35歳以上で15本以上の喫煙者とコントロールできない高血圧患者です。喫煙女性とピルに関してもOCが悪いのではありません。喫煙そのものが有害なのです。WHO基準の服用禁忌がない場合、OCはとても安全な薬です。OCの選択は希望しない妊娠を防ぐだけでなく、多くの利点により、きっと多くの女性の生活の質を高めてくれることでしょう。OCは多くの女性にとって「Life Design Drugs 」なのです!(婦人科/蓮尾豊)
              

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